まとまった休みが取れたので、久々に寒くてすっかりご無沙汰だったロングライドに出掛けることにしました。
といっても近場のタフな峠を攻めるにはまだまだ寒さがこたえる時期なので、思いきって南の島・奄美大島へ行って走ってきました!
奄美大島といえば鹿児島よりも沖縄に近いくらいのとこですからね。
3月でも気温は10-20℃くらいあるので、手足の凍えとか路面の凍結とか気にすることなく思う存分走れるハズ。
「前々から行きたかった!」とかでは別になくGoogleマップを見て思いつきで決めたので、奄美大島のことはぜんぜん知りませんでしたが、この島はイメージよりもけっこうデカい。
面積は712km2ということで本州・四国・九州・北海道・沖縄本島を除いた日本の島の中では4番目の大きさなんだそうです。(1位:択捉島、2位:国後島、3位:佐渡島)
周囲は461kmあって全体的に平地が少なく山が多いとのこと。(特に南部)
最高標高は湯湾岳694mですが、車道の峠道はせいぜい標高300-400m程度のお手頃クライムですね。
ただし沿岸はリアス式海岸ということで、海岸線のルートも細かいアップダウンの繰り返しなので、がっつり派の人には結構走り甲斐があって楽しめそうです。

奄美で注意しておいた方がよいのは「ハブ」についてです。
夜行性で昼間はほとんど活動せずに休んでいるらしいので、普通に観光するぶんには遭遇する機会はほとんどないそうですが、不用意に草むらに入ったりしないようにとのことです。
ハブに嚙まれたときはすぐに対応しないと毒がまわって最悪は死んだりとか患部の切断とかもあるらしいです。
対応は救急車をすぐ呼んで、とにかく毒がまわらないように毒を吸い出したりしながら安静にしてなきゃダメみたいです。
ちょっと無理して自転車で病院まで走って、、、なんてのは無謀な考えのようです。
なので夜間走行を避けるのは当然として、何かあったときに助けを呼べないようなムチャなルート設定は避けなきゃだめですね。
ちなみについでの生き物ネタだと「奄美のクロウサギ」でしょうかね。
奄美大島の峠道では「クロウサギに注意!」の看板をよく見かけました。
1990年代までは島では普通に見かけることができたそうですが、今や絶滅危惧種で国の天然記念物だそうです。
クロウサギも夜行性だそうで「ナイトツアー」なんてのもあるそうですが、ハブにびくびくしながらのドキドキツアーって感じでしょうか。
あと奄美は雨が多いらしいんですよね。
日照時間は全国的に見てもかなり少なめで、黒潮+モンスーンで雨雲が発生しやすい地域らしい。
雨が降ったり止んだりの天気がよくあるとのこと。
決行日は長期予報的には一応晴れ&曇りとなってましたが、こればっかりはもう神頼みしかないですね。。。


こういったこともあるので、がっつり走りたいからといってあんまり無理な行程にならないように予定を決めました。
東京からだと羽田-奄美大島への航空便は1日1便で往路は11:50発、復路は15:00発なので、移動日はそんなには走れないということも考慮して、3泊4日でのライドにしました!
今回の走行ルートは以下の通りになります。
4日間でできるだけ島のいろんなところを走る計画です。
Google Earth動画も作ってみました。
◆Day1 奄美空港→奄美市街(名瀬)
この日とんでもないトラブルが発生しました!
何と飛行機での輪行時にエンド折損です。
つまりリアディレーラがぶらぶら。。。。
そういえば着陸の直前にパイロットの方が機内放送でこんなこと言ってました。。。
「本日当機は満席、お預かりしている手荷物も多く、機体重量が重めになっております。加えて奄美空港は滑走路長さが短い(2000m)ため、着陸直後に強めに制動をかけますのであらかじめご了解ください、、、云々。。。」
確かに急制動だった。。。
多分、荷室の中の手荷物たちは相当な暴れっぷりだったのではないでしょうか。。。。
マジか。。。。
しかし文明社会におけるサバイバル精神はこんなときにこそ発揮されるのです!
ということで、気合で何とかしました。
幸い非常用の結束バンドが何本かあったのでそれで応急処置です。
奄美空港は奄美大島の中心地の奄美市(名瀬)から約30kmほど離れたところにあり、周囲にはほとんどなんもありません。
「とりあえずは何とか名瀬まで行かねば。。。。」ということで、とりあえず様子を見ながらこれで走り始めたんですが。。。。
結果としては、、、意外とこれでイケてる!だったんです。
この後、名瀬でダイソーを見つけ出して購入した資材で若干の追加補修したものの、結局ほぼこの状態で4日間走りきったわけです。
たぶんこれワイヤー式だったらもたなかったのでは?という気がしてます。
スラムのワイヤレス無線変速だったのが幸いして、ワイヤ引きの荷重を受けずに変速可能だったことで何とかなったと思っています。
ちなみに2日目からはほとんどこのトラブルのことは気にせず変速してました。。。。
↓なんと奄美にもダイソーは普通にありました!PayPayも使えました。
そんなこんなで初日からドタバタでしたが、本茶峠という峠を越えて何とか宿泊地の名瀬にたどり着くことができました。。。
↓Day1のダイジェスト動画です。
宿泊は名瀬市街の「ホテルニュー奄美」でした。

普通のビジネスホテルでしたが繁華街にあるので買い物など便利でした。
ちなみに朝食バイキングでは奄美名物の「鶏飯」が食べれましたよ!(美味でした。)
◆Day2 奄美市街(名瀬)→瀬戸内町→西古見→宇検
直前の天気予報では3日目までは好天となってましたが、予報通り終日良い天気でした。
この日の前半は島南側の山岳地帯を抜けるコースです。
国道58号をそのまま行けばトンネルを抜けて近道できますが、それではつまらないので旧道の峠を越えていきます。
きちんと舗装されてましたが、ほとんどひと気がないのでこういうとこでハブに噛まれたらやばいでしょうね。(まあ昼間なら大丈夫でしょうが。。。)
住用(すみよう)地区には日本で2番目に大きなマングローブの原生林があります。
カヌー体験や散策などできるスポットとのことですが、こちらはひたすらペダルを踏むのが趣味なので記念撮影だけして先を急ぎます。
山岳地帯を抜けて島の南岸まで行くと穏やかで美しい海の景色が広がっています。
奄美大島の南側のすぐ隣には加計呂麻島という島があって、その間は大島海峡と呼ばれています。
地図を見れば一目瞭然ですが、ここは入り組んだ海岸線に囲まれた海峡なので非常に穏やかな海域になってます。
大島海峡に沿ってずっと走りましたが、観光客も少ない時期の離島の最奥部で美しい景色を独り占めって感じいい気分でした。
しかしそんな中で瀬戸内町の古仁屋付近だけはちょっと異質な感じでしたね。
何が異質かっていうと、何かちょっと賑わっている。。。。
もちろん奄美大島の南側にある加計呂麻島、請島、与路島、徳之島といった島々への航路の発着港でターミナルであるっていうのはわかるんですが、古仁屋とその周囲とのギャップがちょっとあり過ぎなんですよね。
で気になったのでちょっと調べてみたら、古仁屋は太平洋戦争終戦まで「奄美大島要塞司令部」が置かれていた町だったそうなんです。
そういう名残なのかと考えると何となく納得な感じでした。
確かに複雑に入り組んだ地形の中に位置する穏やかな海峡の町っていかにも要塞に最適です。
台湾、中国、東南アジアに向けた最前線重要拠点って感じでしょうか。
ってこれは過去の話じゃなくて、予期される台湾有事などの影響もあって奄美大島の自衛隊基地は重要な位置付けとして着々と強化が進められているそうな。。。。


↓大島海峡沿岸の景色
そんな古仁屋を抜けるとまたひっそりとした美しい海峡の景色が続きます。
大島海峡の最西の西古見はホント楽園の果てみたいな感じのとこです。
一応、集落があって人が住んでるっぽいんですが誰もいないって感じです。
世の中にはこんなとこにも人の暮らしがあるのがどこか不思議な感じがしました。
今回のルートで西古見→屋鈍の半島越えが実は一番不安な部分でした。
全ルートの中でこの区間だけがGoogle Mapのストリートビューで路面の状況が把握できていなかったんです。
島の一番西側のひと気のない端っこ。
ここで最悪のヤバいことが起きたら、ちょっとキツいかも、、、と思っていたんですが。。。。
それでどうだったかというと、、、路面はちょいヤバでしたね。
舗装路が途中で未舗装路になり、、、だんだん路面もちょっと荒れてきてロードバイクだとちょっとピンチな状況。。。。
しかしここはグラベルライドでの経験が生きましたよ!
それは「ヤバいときは降りて押して進む作戦!」ですね。
ロードシューズだとこれは超苦痛で難儀しますが、これはすでに想定済みでロングライドではいろんなことに対応できるMTBシューズにしてますので問題なし。
へたにコケたりパンクするよりは、1時間くらい押して歩くつもりで行けばいいわけです。
ということで最終的には最悪のヤバいことは起きず無事にクリアーすることができました!
https://tokutoku-bike.com/2020/12/29/2491/
https://tokutoku-bike.com/2021/01/24/2567/
半島越えした屋鈍からこの日のゴールである宇検までは、焼内湾の穏やかな海が続きます。
焼内湾はどこか平和な感じがするのは気のせいでしょうか。
多少の想定外はあったものの日没には十分余裕を持って無事に宿泊地に到着することができました。
この日の宿は「開運の郷 やけうちの宿」というところです。
地域福祉センター「やけうちの里」と併設されている感じの宿泊施設でこの地域全体で運営している雰囲気の宿でした。
宿の周囲に商店や食堂はないので、夕食、朝食ともに宿に併設されている宇検食堂でとると良いです。
ちなみに朝食のみで予約しましたが、チェックインのときに頼めば夕食もOKでした。
↓Day2のダイジェスト動画です。
◆Day3 宇検-奄美市街(名瀬)-赤木名
この日も晴天の一日でした。
雨の日をたまたまうまく避けてどうやらいいタイミングで奄美に来ることができたようです。
この日の前半、宇検から名瀬の間は大和村の沿岸に点在する集落巡りです。
比較的小さな岬を挟んでいくつもの美しい浜辺があるのでそこに集落がつくられたのでしょうね。
自転車で走ると、岬を越える小さなクライムがあってそれを登りきって下ると美しい浜辺と集落が現れるというサイクルが続きます。
前日の大島海峡とは違って外海に面しているのでまたちょっと違う雰囲気です。
宇検から海沿いに大和村を通過すると前日の出発地の名瀬に戻るわけですが、やはりそれなりに大きな島なのでぐるっと回ってみると地域ごとにけっこうな違い実感することができました。
地域ごとに地理的な環境や歴史的な風土の違いが大きくて面白いなあと思いました。
人が多すぎるとそういうのがわかりにくくなる気がしますが、奄美は人が少ないのでわかりやすいんだと思います。
名瀬の市街地で一瞬ものすごく街っぽくなりますが、そこを過ぎると今井崎まではまた外海に面した集落群となり、その先はまた龍郷湾の内海地域となり、まるっきり景色の表情が違うので面白いです。
龍郷湾のあたりはどうやら西郷隆盛が流罪になった時に生活していたところのようですが、外海の小さな集落群と比べると穏やかな内海のずいぶんよい環境で生活を送っていたように思えます。
流罪といっても実際は幕府から身を隠しながら心身のリハビリ生活を送っていたという話もあるみたいです。

3日目ラストの穏やかな内海ビーチの極みは「崎原ビーチ」ですね。
この辺は奄美空港から近場になりますのでシーズンなら観光客で賑わうんでしょうが、この時期はほぼ独り占めできる状態でした。
崎原ビーチの絶景↓
最後の宿泊は赤木名の「伝泊 奄美 ホテル」の別棟フレンドリーというところです。
素泊まりでトイレ、シャワー、キッチンは共同となっていて格安でした。
ここは近場にけっこう大きなスーパーマーケットがあるので素泊まりでも不便なく過ごせました。
宿泊地固定で長期滞在するならかなりリーズナブルですね。
島の北側は空港もあり比較的平地も多いので、住宅や商店も比較的多く多少ひらけた感じになってました。
↓Day3のダイジェスト動画です。
◆Day4(最終日) 赤木名-笠利崎-奄美空港
4日目についに朝は雨でした。
予報では昼近くまで小雨とのことでしたが、幸い早めに雨が上がったのでほぼ予定通りに出発。
赤木名から奄美空港までは直行すれば3km程度ですが、帰りのフライトが15:00なので遠回りして島北端の笠利崎までぐるっとまわってから奄美空港へ向かう30km程度をのんびり走る予定です。
のんびりな気持ちで出発したもののこの日はやけに風が強い!
もともと笠利地区は風が強いなんて情報もありますね。
強烈な向かい風の中、気合を入れなおしてペダルを強く踏みます。

笠利崎には高台に灯台があります。
登山道みたいな小道があるのでそこを登ると灯台まで行けます。
しかし岬の突端である笠利崎もやっぱり強風なわけで、強風にあおられながら滑落しないように注意しながら灯台まで行きました。
サイクリングでは無事だったのに灯台の散策でへまるわけにはいかないので。。。。
しかし苦労の甲斐あって灯台からの景色は素晴らしかったですよ。
吹っ飛ばされないように注意しながら動画をとったので、ぜひダイジェスト動画を見てみてください。
笠利崎灯台らへん↓
笠利崎から奄美空港までは追い風になるので、ここからはいよいよのんびりサイクリングです。
奄美空港の北側のあやまる岬から奄美空港までは海岸線沿いにサイクリングロードがあるのでそっちを走りました。
このサイクリングロードの一帯は白い砂浜と浅瀬が広く分布していて「ブルーエンジェル」などと呼ばれる美しいビーチになってます。
行ったときはたまたま干潮のタイミングだったようで、浅瀬から水が引いて海底が露出している状況だったので軽く散策してみました。
土盛海岸の干潮時はこんな景色でした。↓
空港近くのこんなスポットでもオフシーズンなので誰もおらず独り占め!
↓Day4のダイジェスト動画です。
◆今回のサイクリングで使った機材
・自転車
中華メーカーTFSAの軽量バイクです。
フレームは実測800g台です!
「もっとインプレしろ!」とコメントいただいてましたが、10万円アンダーで入手できるフレームと考えれば文句のつけようがないですね。
硬すぎもせず、柔らかすぎもせず、ロングライドしても膝も痛くならんし体へのダメージがそんなこないとこが気に入ってます。
あとシッティングでもダンシングでもスイスイ進んで癖がないですね。
今回エンドが折れましたが、これは品質上の問題ではないと考えてます。
サービスパーツのエンドもAliexpressで折れた当日夜に発注できたので困らなかったです。
(現在は無事修理が終わって元通りになってます。)
ただ超軽量フレームなのでこういうことが起こるとクラックとかちょっと心配ですね。
手元で管理できる電車輪行はまだしも、預けちゃう飛行機輪行はちょっと考えものです。
飛行機輪行であと問題なのはディスクローターが歪むことですね。
これ結構ありがちなトラブルです。
(今回も帰宅後チェックしたらちょっと歪んでた。。。)
なので飛行機輪行でリスクを最小限にするなら、チェーン&リアディレーラは外す(SRAMのAXSならまあ簡単)、ディスクロータは外す、ペダルは外す(当然!)、くらいはした方がいいんでしょうね。(教訓。。。)

・サイコン
これまた中華メーカーiGP SPORTSのiGS630を使ってます。
これコスパ抜群で完璧です。
信頼できるナビと長時間のバッテリーライフ。
見知らぬ土地のロングライドでもこいつがあれば迷うことなく安心して走れますよ。
(Garminよりぜんぜん安いし。。。)
https://tokutoku-bike.com/2022/04/12/3064/

・アクションカメラ
360度カメラのinsta360 one X2とGoPro Hero4 Sessionの2台体制です。
insta360 one X2はサドルバッグにカーボン製で軽量の3m消える自撮り棒を固定して、撮影時だけ長くして使ってます。
360度映像はinsta360の純正アプリを使って自動編集にかけてます。
時間はかかりますが、自力でやるよりははるかに速いので。。。

https://tokutoku-bike.com/2022/05/22/3078/
Hero4 Sessionは絶版モデルですね。
やっぱり小さくて使い勝手がよいのでなかなか手放せません。
画質もそこそこ悪くないですし。
ステムキャップのとこに取り付けてます。
走りながらちょいちょい撮影するのにちょうどよいです。
https://tokutoku-bike.com/2020/12/23/2462/
今回の記事は以上です。
久々のブログ更新でしたが3泊4日の遠征だったということもあり大作になってしまいました。。。
楽しく読んでいただければ幸いです。
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